日本企業は昔から、あうんの呼吸を読んで意思疏通をはかってきました。
たしかにそれはそれで良い面もありました。
いちいち細かな話をしなくても、お互いの気持ちが通じていれば仕事はスムーズに流れていました。
しかし現在は違います。
とくに日本企業においてもグローバル化が進み、外国人社員の増加によって自分自身の意思をはっきりと打ち出していかなければ、気持ちは伝わりません。
伝わらなければ仕事に支障が出てきます。
従来のようなスタイルが通用しなくなっているのです。
現在の新入社員も例外ではありません。
明確に仕事の目標やルール、その業務を完成させることによって何が達成できるのか、といった指針を示さなければついてきませんし、その組織が回りません。
組織はひとりひとりのメンバーから成り立っています。
個性や考え方が違う人たちで組織として成立しているため、それを維持、進化させていくためには人事管理といった面を大切にすることが必要となってきます。
■そもそも人事管理とは?
では、もともと人事管理とはいったいなんでしょうか。
企業においては、指揮命令系統を明確にしたうえでメンバーを統制していき、組織の目標に向かって効率的な運営ができるようにすることです。
ただ相手は人間です。
力ずくでどうにかなるようなものではありません。
ここでは先に述べた仕事の目標や、それを遂行する意味などを明確に指示し、社員に理解させることが必要です。
では一歩進んだ人事管理はどのような手法なのでしょうか。
ひとつには社員、また自分の部下が困っていること、悩んでいることなど心理的な負担にいち早く気づき、それを取り除いてあげることです。
ひとりで悩んでいては精神的にも良くありません。
またその業務を進めていくことが難しくなってしまうでしょう。
それは社員にとっても、企業にとっても実に不幸なことと言えます。
社員が何に悩んでいるのかを明らかにし、それらを双方で共有しながら解決に向かわせるという手法は、社員にとって成長するチャンスや動機付けになります。
人は人材ではなく人という財産です。
いくらトップダウンで指示をしようとしても、それを理解し実行に移す社員がメンタル的に悩んでいては業務は滞ってしまいます。
社員が成長しなければ、結局はその企業の発展も望めません。
目標に対する進捗度合いの確認やフォローといったステップを踏んでいくことで、社員の成長と指導育成する側のマネージメント力の向上、組織や企業のパワーアップを図ることができるようになります。
ひいてはコーポレートブランド力の向上にもつながります。
このような良い循環を作っていくことで、目標と達成のサイクルを回していくことができ、社員ひとりひとりの能力アップにもつながります。
■労働生産性の向上につながる
それは労働生産性の向上という、素晴らしいプレゼントにもつながっていきます。
グローバルで見ると日本の企業は労働生産性が低いと言われる場合があります。
たしかに長時間労働を行っているケースをよく見かけます。
これでは世界からの指摘を改善することができません。
また社員の体力、気力を奪ってしまうことにもなります。
目標があいまいではっきりしない職場、そこでは人事評価もあいまいです。
どのようなモノサシを使って判断するのかが不明です。
それは判断や評価される側の不満が高まっていくことになります。
そのような環境のなかで働き続けることは、苦痛以外に考えられませんし、若い人たちの退職につながります。
結局、それは認めてもらえないからです。
どのような人でも認められたい、という深層心理を持ち合わせています。
たとえ目標を完全に達成できなくても、達成しようとしたプロセスを双方で確認し、認めることができる部分は認めるというスタンスを持たなければなりません。
そうすれば心のわだかまりや悩みがほぐれ、新たな気持ちで次のステップへいくことができます。
社員や部下の頑張りには答えていくことが必要です。
しかもあいまいなモノサシではなく、数値を伴った基準をつくることで、お互いが納得する評価結果となります。
優秀な人材ほど他の職場環境を観察し情報収集しています。
そういった優秀な社員が退職していけば、企業にとっては非常な大きな痛手となります。
将来の経営幹部として考えていた組織戦略が崩れてしまうのです。
このように人事管理は企業にとって必要不可欠な管理手法であるがゆえに、規則やルールに縛られがちです。
しかし柔軟さを忘れてはいけません。
前述したように企業は人から成り立っています。
人の心理はまわりの環境によって大きく変化します。
その変化を見逃さないよう、常にフォローしバックアップできる管理体制をしいていけば、形式ばった人事管理や労務管理などの規則は不要です。
社員とともに成長し、組織や会社をさらに良くしていこう、という気持ちをメンバー全員で持つことができれば素晴らしい会社になります。
悩みを共有し全員で解決していこうという極めて人間臭い組織が、実はグローバルな世の中では最先端の人事管理かもしれません。
[PR] 人材データベース最終更新日 2025年6月10日